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Clinical researcher and patient connecting

分散型臨床試験におけるコミュニケーションの課題

ベスト プラクティスと最適なソリューション

多地域共同の臨床試験に関する前回のブログ記事では、ライオンブリッジ ライフ サイエンス翻訳サービスのチームが、多言語臨床試験 (MRCT) をプランニングする際に臨床試験マネージャーが言語戦略を確立することを推奨しました。今回のフォローアップ記事では、試験手順の一部またはすべてを試験実施施設以外の場所からリモートで行う多地域共同の分散型臨床試験 (DCT) について同様の事例をご紹介します。当社では、DCT のプランニングと実施の成功にはコミュニケーションと言語が非常に重要であり、同時にこれらは臨床試験特有の要素であることを強く訴えています。オンライン環境の臨床試験では研究チームと参加者の対面での関わりが少ないことがその理由の一つです。また、分散型やハイブリッド型の臨床試験では通信環境の多様さも理由として挙げられます。

分散型臨床試験に関する規制当局の見解

DCT は、特に新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に関連して広く議論されるようになりました。パンデミック中、臨床試験が中断される事態をできる限り避けるため、オンラインやリモートによる手段が導入されました。米国食品医薬品局 (FDA) および欧州医薬品庁 (EMA) は、DCT の実施に関する推奨事項を発表しています。当然のことながら、規制当局は以下を重要な懸念事項としています。

  • 試験結果の信頼性
  • 参加者の安全性
  • 参加者の保護
  • 参加者のモニタリング

EMA は、臨床試験の実施を分散させる場合には、いわゆる「質に関する重要な要因」に基づくことを推奨しています。臨床試験の一般指針に関する ICH E8 ガイドラインでは、質に関する重要な要因は「参加者の保護、試験結果の信頼性と解釈可能性および試験結果に基づく意思決定の根本となる試験の完全性に関わる属性」と定義されています。また、ICH E8 ガイドラインには、臨床試験依頼者がそれらの要因を特定する際に参考となる考慮事項のリストが記載されています。このリストには、参加者向けの情報 (明確で理解しやすい必要がある) や、関連するトレーニングの必要性の特定などが含まれていますが、ガイドラインの中にコミュニケーションや言語についての言及はありません。

メモを取っている臨床研究者

ICH E8 はコミュニケーションと言語にほとんど焦点を当てていませんが、DCT に関する EMA ガイダンスはコミュニケーションの側面に言及しており、次のような事項が記載されています。

  • 効果的なコミュニケーション手段の確立
  • デジタル ツールで情報を滞りなく管理する手順
  • 同意取得に関するコミュニケーション
  • 緊急事態下におけるコミュニケーションの策定

2022 年 12 月に施行されたこのガイドラインは、臨床試験依頼者が臨床試験に分散型の要素を組み込むことを検討する際に、非常に有用となります。

質に関する重要な要因としてのコミュニケーションと言語

DCT において正しい試験結果や手順、意思決定を導き出すためには、リモートやハイブリッドなどの臨床試験システムと関係者すべてにわたって、情報やデータが効果的にやり取りされることがきわめて重要になります。コミュニケーションがスムーズになれば、情報やデータの作成、処理、送信、受信が意図したとおりに行われます。情報を受け取る側はその目的とメッセージを理解し、情報に基づいて予測されたとおりの行動をとることができます。多地域共同臨床試験では、効果的なコミュニケーションと情報受信者の正しい理解のために、現地語への対応と翻訳が不可欠なのです。

被験者と話す臨床研究者

デジタル ツールを使用する DCT では受信データが多く、試験情報フローに関わる関係者の数も多いことから、特有の課題に直面することが少なくありません。たとえば、患者ケアを行う中央的施設に代わって、テクノロジー サービス プロバイダーや地域の看護ネットワークを利用しなければなりません。そのため、臨床試験実施計画書の作成段階で、コミュニケーションと言語を提供する効果的な手段を確立して定める必要があります。EMA の推奨に従って、コミュニケーション フローを臨床試験実施計画書で規定し、臨床試験依頼者、臨床試験責任医師、その他のサービス プロバイダーの間で書面による合意を得る必要があります。

分散型臨床試験にコミュニケーションと言語対応の定義が必要な 3 つの領域

臨床試験管理において、コンテンツ、対象ユーザー、コミュニケーション手段/プラットフォームにわたって積極的にマッピングやプランニングを行うことにはメリットがあります。それにより、「質に関する重要な要因」として特定されたコミュニケーションや言語対応の要素が臨床試験の申請に確実に組み込まれるようになります。

当社では、下図のようなモデルを提案します。モデルでは、臨床試験のセットアップに際し、以下の領域について調査のための質問事項を設けています。

  • コンテンツ
  • 対象ユーザー
  • プラットフォーム

このモデルは、分散型、集約管理型を問わず、臨床試験マネージャーが試験の要素としてコミュニケーションと言語対応を決定する手助けとなります。強力なコミュニケーション プランには言語対応のプランニングが不可欠です。コミュニケーションを円滑に進め、最終的に患者のコンプライアンス遵守と良好な患者アウトカムを導くために、翻訳が必要なタイミングを明確にするプランでなくてはなりません。

お問い合わせ

DCT での言語対応プランに関するサポートや、臨床試験参加者の募集に関する資料など、さまざまなユーザーとの多言語によるコミュニケーションをさらに円滑に進めるためのサポートをお探しなら、高い技術力/専門知識、経験豊富なチームによるプロジェクト管理により、お客様が必要とする臨床試験翻訳サービスを提供いたします。当社までお気軽にお問い合わせください。ライオンブリッジが提供する各種臨床翻訳サービスについて、当社の担当者が詳しくご説明いたします。 

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著者
ライフ サイエンス戦略および製品マーケティング担当 VP、ピア ウィンデロブ
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